断れない心理「NOと言えないのはなぜか」

YESという文字 心理

他人からの頼み事を断れない。

特に深く考えず提案を引き受けてしまう。

といったような事は、特に珍しくありません。


なぜ、他者からの依頼を断れないのか?

なぜ、自分の時間を優先するよりも他人を優先してしまうのか?

と自問自答する人もいることでしょう。


結論から言うと、

・自分のやりたいことを犠牲にしてまで、
 NOといえないのは問題
・自分のやりたいことが明確でないと、
 NOと言えないのは「自然なこと」

といえます。

つまり問題になる場合と、さほど問題にならない場合が

あるということです。


自分にとって現在何が重要かを分かっているのに、

それでも他人の提案を断れないというと

問題になってくるでしょう。

一つずつ、解説していきます。

断れない心理

断れない心理はいくつか存在しますが、

大体は「自分に対する評価が下がる恐怖心」と

「自分自身を過小評価する心理」から

成り立っています。


断ったら「評価が下がる」と思っている

断れない人の心理というのは、

これを断ってしまったら、嫌われる

つまり自分の評価が下がってしまう、と感じます。


何かを提案されたとき、

人は自分に対して「これが出来る人間である、してくれる人間である」

と期待されていると感じるため、

断るというのはその期待してくれた相手を

裏切ってしまうような気持ちにさえなるものです。


自分の評価にこだわりやすい人、

「自分が他人にどう思われているかが気にかかる人」は、

他人からの提案を安請け合いしがちです。


ここで問題になるのは、

「引き受けること=断らないことで、期待に

応えようとする」ことが

目的になってしまうために、

そのあとの肝心な「依頼の内容」にまで目がいきません。


そのため実際にやってみるとものすごく億劫な内容だったり、

気が乗らなかったりすることを

引き受ける羽目になります。


嫌われることに対する恐怖心がある

嫌われることに対して強い恐怖心がある場合、

他人からの依頼を断るというのは

「この人から嫌われてしまう・・・」

と感じてしまいます。


なので、そう考えてしまう時点で、

頼み事を断ること自体を排除しがちです。

つまり、NOという選択肢がなくなってしまいます。


たとえば、恋人から

「今、お金に困っている。他に誰にも

頼める人がいない。少しでいいから、

お金を貸してくれないかな」と

言われた場合。


普通なら「恋人にお金を借りようとするなんて」と

考えていたとしても、

実際に頼まれてしまうと「この額なら、

仕方ないかな」と貸してしまう人がいるのも

このためです。


本当はお金を貸したくないのに、

「ごめんね、何があってもお金は貸せないよ」

と言えない場合、

お金を貸さなかったら、嫌われてしまう。

折角この人が自分だけを頼って、
自分だけに話をしてくれているのに。

というような認知バイアスがかかることも

珍しくないでしょう。


しかしそういう心理になる時点で、

「NOという自分自身に、価値はない」
「他人の提案に迎合するくらいしか、自分の価値はない」

とその人自身が自分自身に対して
過小評価をしているという証になります。


断ること=相手自身を拒否することだと考えてしまう

断れない人というのは、

相手の期待や好意を無碍にして、

「相手自身を否定すること」だと

重く受け止めることが多いと言えます。


自分自身が、何か頼み事をして断られると、

「自分の頼みかたが悪かったんだ・・・」
「自分が嫌われているからだ・・・」

といろいろと勘繰ってしまいがちだと、

余計に他人からの頼み事や誘いにNOを言えなくなります。


自分自身が断ることも、相手に

そういった誤解を与えるのだ、と思い込むからです。


そしてそういう誤解を招くのを防ぐためだけに、

行きたくもない誘いに乗ったり、

やりたくもない仕事を引き受けたりすることになります。


断っているのはあくまで相手の「提案そのもの」であり、

相手自身を拒否しているわけではないのですが、

それでも「NOということ=相手を拒否すること」、

そしてそこから「相手を拒否した自分が悪者になってしまう」

という感覚に陥ってしまう人も

少なくありません。


「頼み事を断れない自分」を自覚していない場合

この記事を見ている人は、

「自分は断れない人間だ」という自覚があるかもしれません。


しかし、世の中には

「自分は他人からの頼み事を

断れない人間」と自覚しないまま、

他人からの提案を安請け合いし続ける人がいます。


たとえば、

「断れない」のではなく「断らない」だけだ、

みんなの力になりたいだけなんだ、

社会人として出来る限りのことはやるべきだ、といった風に

「自分は他人からの提案にNOと言えない人」という

事実を自分の都合のいいように考えがちになることです。


そうなると、他人からの提案を

引き受けるために

別の大事な用事をすっぽかしたり、

家族やパートナーが期待していた約束を反故にして

しまったりなど、

別の問題を引き起こしがちになってしまいます。


その場その場で

「断れない」という心理が働くために、

ついつい「YES」と答えてしまい、

別の重要事を犠牲にしてしまいます。


断れないのは、当たり前だったりする

NOといえないのは自分の無駄な時間を増やすだけだ、

嫌なことははっきり断ろう・・・

というような風潮が、昨今目立っています。


シリコンバレーのコンサルティング会社THIS Inc.のCEO である

グレッグ・マキューン著の

エッセンシャル思考 最小の時間で成果を最大にする」でも、

「なにが本当に重要かを知っていたら、

それ以外のことにNOといえる」とあります。


しかし、ここに出てくる実例というのは、

「大事な家族と大事なひとときを過ごしたい」とか

「自分が貫きたい信念がある」ことが

明確になっている人のエピソードです。


実業家の堀江貴文さんも、

時間革命 1秒もムダに生きるな」や「多動力」等

自身のあらゆる著書で

「自分が本当にやりたいことのために、

無駄を極限まで省け」ということを記しています。


ただ、誰もが“確固たる信念”があるわけではありません。
“何が大事なのか”を心の深層では理解していたとしても、
それを常に意識できるわけでもありません。

他の選択肢をとることで、

本当に大事な選択が手から滑り落ちていってしまう。

そういう感覚に陥るのは、何が自分にとって本当に大事なものなのかが

明確になっているときだけでしょう。


「別に今はなにもすることがないし、

引き受けてもいいかな」

「断る理由も別にないし」という人も多いはずです。


そういう人も、「自分は安請け合いしすぎなのかな?」

「NOといえない自分はおかしいのかな?」と

考えてしまうことがありますが、

むしろそれは自然なことでもあります。


そもそもやりたいことを始めて、

ある程度“これは自分にとって何よりも優先すべきことだ”

というくらいの事柄になっていないと、

とりあえずなしくずしに他の選択肢を断れないでいる、

ということはある意味当然ともいえます。


・自分のなかで大事なことは、明確になっていない人が多い。

・明確でない以上は、わざわざ断る名分がないから
他人のために時間を作ったりゆずったりするのは
おかしいことではない。
 

なので、

NOがいえないこと全てが問題なのではありません。


ただ、自分にとって嫌なことが明確なのに、

嫌といえない場合は

過剰適応(何よりも環境や相手に適応するのを優先する)

になっていたり、

相手に合わせるしか価値のない自分、

と自分にレッテルを貼っている可能性もあるでしょう。

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