自己肯定感を高める方法

心理

この記事では、「自己肯定感が低くて困っているけれど、

そもそもどうやったら自己肯定感って高まるの?」という疑問に

お答えします。

自己肯定感とは何なのか

自己肯定感とは、

自分はそのままの自分でもいいんだ」と「感覚的に思えること」です。

専門的に言うと「自己効力感」などといった言葉で

表現されますが、

専門家でも用いるときに表現が曖昧になってしまいがちな

用語です。

自己肯定感はその他の言葉で言い表すと、

「自尊心・自尊感情」「自己評価」「自己尊重」「自己イメージ」「自己価値」

などといった用語に置き換えられます。



「感覚的に思えること」というのは、

意識的に「自分の事を認めてあげてもいいんだ!褒めてあげてもいいんだ!」

と思うのではなくて、

自然と、感覚的に、そう思える、という状態が

「自己肯定感が高い」といえます。

というのも、意識的に「自分ってすごいんだ!」と無理やり思うことだけでは

自分は騙せませんし、低い自己肯定感を誤魔化すこともできません。


自己肯定感が低いと、プライドは高くなる

「そのままの自分でもいいんだ」というのは、

「これが出来たからすごいんだ!」というのではなくて、

「これが出来なくても、出来ないままの自分でいいんだ」

という思考がより自己肯定感は高いといえるでしょう。




何かが出来たから偉いとかすごいとか、

こういう思想を抱いているから素晴らしいとか、

そういう「優越感」を感じやすい人というのは実際は

自己肯定感が高そうに見えて低い人が多いものです。


「自分はすごい、ほめてあげなくちゃ」と自分を意識的に

鼓舞するのも、

「自分はこういう人間だから偉いんだ!」と条件付きの自分だけを

素晴らしいと思い込むことも

どちらも自己肯定感が高いとは言えない状態、ということになります。


前者は、「自分はそのままで大丈夫、ちゃんと頑張ってる」と

呪文のように唱えるだけで、「感覚的には」そのままの自分を許せず、

自分が失敗してしまうような場面だと咄嗟にプライドを守ったり、

後者だとそもそも誰も攻撃していないのに

「こんなに自分は正しいのに、誰も認めてくれない!敵ばかりだ!」と

曲解したり、

自己肯定感が低いゆえに自己防衛をしようとして、

プライド(自分は強くて正しいのが当たり前なのだと思う思考)ばかりが

高くなってしまう傾向にあります。

つまり、自己肯定感が低いのにプライドが高い、という

状態ではなくて

「自己肯定感が低いから、プライドが高くなる」

という道に迷いこみ、

プライドが高いことで他者と融和できず、

より自己肯定感が低くなってしまうというサイクルに

陥ってしまいます。


自己肯定感が低い理由

ここで一つ、この記事を読んでくださっている方に

お伝えしたいことがあります。

この記事に飛んできてくださった方というのは

自己肯定感が低い人、あるいは自分に自信がない人、

まさにその人でしょう。

そしてそういう人にお伝えしたいのが、

「自己肯定感が低い」ということ自体を

「ダメだ」と思うことは当然のことです。

「自分をダメだ」「自信のない自分はダメだ」

と感じる人というのは、

「自分をダメだダメだと思っていること自体もダメだ」

と感じる人もとても多いです。

そして、上記のとおり「もっと自分を好きにならないと!」

とまるで義務のように「前向きに、前向きに」を

キーワードにポジティブシンキングで無理やり突き進もうとします。

基本的にポジティブシンキングは罠だと考えているのですが、

実際自分に自信がなくてネガティブな人というのは

「ネガティブな自分が許せなくてポジティブシンキングになろうとするまでが

一連の流れ」と

思っておくくらいで丁度いいです。


自己肯定感が低くなる理由

自己肯定感が低い理由というのはいろいろあります。

親の自己肯定感が低いと、子どもの自己肯定感も低くなる

親の自信のなさというのはそのまま子どもに移行します。

遺伝要素がある、という話ではありません。

先ほどの話と関連して、自信のない親というのは大体が

その自信のなさに比例してプライドが高くなります。

自分の自信のなさをカバーするためにプライドだけが高くなる

という意味です。


そうなると誇大的になったり偉ぶったり、

あるいは自分の親としての能力のなさを子どものせいにしたり、

あるいはたまたま子どもがうまく掴んだ能力を

自分の手柄にしたり・・・

という行為を子育てに持ち込んでしまうのです。

自己肯定感が低いと、「本当に自分はダメだ」というストレスが

そもそも大きいので、そこを回避しようとする機能が

すぐに働きやすいといえます。


子どもをスポーツ万能にしたくて、とにかく

熱心に運動を教え込んでも教え方がうまいとは言えない場合、

子どもがいい成績をとれば「自分の教え方がいいからだ」と

自分の手柄にして

子どもの成績がよくないと「お前が身を入れないからだ」と

子どものせいにする、といった具合に。

そういう事を繰り返されると、子どもは「自分がだめなんだ」

「このままの自分では認めてもらえないんだ」と自覚します。

そうなると、「このままの自分でいてもいいんだ」という

考えが子どもに定着し、いつしかそれは「人生の癖」というほどまでに

その個人に沁みついていくのです。


自己肯定感を高める方法

自己肯定感を高める方法はいくつかあります。

「誰かを嫌いな自分」を意識する

まずは、「誰かを嫌いな自分」「何かを受け入れられない自分」を

意識することです。

自己肯定感が低い人というのは、

何かを受け入れられない自分さえも「許せない」と感じることが

あります。

「寛容ではない自分」を受け入れられないからです。

誰かを無意味に嫌うなんて、そんな配慮のない事をしてはいけない。

そういう風に思ってしまいます。

例えば嫌味な上司を嫌いだと思うことを禁じて、

逆に好きで尊敬していて、偉大であるからこそ畏怖の対象であると信じ込もうとする

こともあります。

ただ単に嫌いなのに、反動形成として「この人を尊敬している!

素晴らしい人だ!」と自ら錯覚しようとするのです。

特に「親」という対象に対して、

嫌いだと思ってはいけない、と考える人が多いです。

親を嫌いだなんて、産んでくれただけで感謝しなくちゃいけない、

親不孝なんて人としてあってはならない、と

自己肯定感が低い人は考えてしまいます。

その結果、親がどう横暴に振舞おうと

それを「嫌いだ」「それは人としておかしい」と

否定しきれなくなってしまいます。


何かを忌み嫌う自己を回避し続けると、

より自己肯定感が低くなる傾向があります。

なので、たとえ親であろうとも、嫌いだったり

嫌だったりすることはあるのですから

それが善か悪か考える前に

それを「嫌いだ」という自分がいることを認めることから

自己肯定感というものは生まれるのです。


小さな成功体験を作り出す

小さいステップで目標を決め、

その成功体験を積み重ねていくことでも

自己肯定感は高まっていくと言われています。

この方法は、細かく言うと「自己効力感」の向上に

繋がるといえるでしょう。

ただ、成功しなくてはならない、という強迫観念を生む

可能性もありますし、これだけでもなかなかハードルの高い

ものでもあります。

というのも、「皿洗いをやる」という目標を立てたところで

うつ状態にある場合はその皿洗いさえ億劫になったり

労力を感じたりするものです。

それが出来ないと、「折角小さなステップを決めたのに、

こんなことも出来ないのか」と余計に自己効力感を

低下させてしまう原因にもなりかねません。

かといって、自己肯定感が低い人は「こんなことが出来たところで

当たり前じゃないか」と自分を卑下する状況になることも

しばしば見受けられます。

それに、皿洗いなどだと意味を見出せなくなることもあります。

ですから、成功体験というのはできるだけ自分が有意義な挑戦だったと

思えるような、「プチチャレンジ」ができるような要素を

含むものがいいでしょう。

プチチャレンジというのも、たとえばダイエットのために

サプリを気になっていた買って試してみたとか、

ダイエット自体も「自分がこうなりたい」「こうなった自分を想像したら

快適だ」という感情に基づいて行うことですから、

「結果はどうあれ自分のためにチャレンジしてみた」という事実自体に

人間は価値を見出せるものです。

「ダイエットなんてどうせ今まで成功しなかったんだし

リバウンドするんだから無駄」と思っていても

それ自体は「快適」という感情は生み出しません。

人は、結果はどうあれ自分の快適さを追求するということに心地よさや

自己効力感を得るものです。

自己肯定感を下げる環境を取り除く

一番大きい問題となるのが、

この「環境因子」でしょう。

例えば、自己肯定感を下げてくるような存在、

「そんなこともできないの」

「そんな非常識なことをするのか」

というような嫌味を逐一言ってくるような同僚がいるとか

兄弟、親の存在があるとか

そういった場合には自分がどう頑張っても

自己効力感がどんどん下げられていくでしょう。

最も必要なのはそういう存在から距離をとることですが、

なかなか難しい状況にあるからこそ

現状をどうにかしたいと思う人もいるはずです。

ただ、「自分はそこから抜け出せないのだ」という思い込みも

一種の自己効力感が低い故に作り出された思想であったりします。

そういう意味では、自分の環境というものをもう一度紙に書きだしてみたり

自分が非常識なのではなく、そう思い込ませてくる

周りがおかしいのではないか?ということを

書籍などを読んで再確認してみるのも一つの手でしょう。

そんな人間に付き合っていくなんてばかばかしい、という感情と

「かといって逃げられるわけないじゃないか」という理性と、

根競べしてしまうのも人間の性ではありますが

理性が勝ってしまい根性論で乗り越えようとしてしまうのも

自己効力感が低い(自分ではどうにもならない問題であると

思い込んでしまいがち)証拠です。

根性では、1年経っても10年経ってもどうにもならないことも

あるのが人生です。


そのためには、まず「自分の自己肯定感を下げてくることで

メリットがある人がいる」こと、

「その人は自分のメリットのためだけに

それを利用しようとしてくる」こと、

「そういう人の癖は大抵治らない」ことを

親であれば毒親に関する本、

同僚であればパーソナリティ障害などに関する書籍など

様々な文献を読んで学習したほうが、

自分がどういう状況に陥っているのか?

自分が苦しいのは、自尊感情が低いせいなのか

それともそういう思想を他人に植え付けてメリットを得る人間が

いるから、その人達のために犠牲になっているだけなのか?

ということがはっきりするでしょう。


自己有能感を育てる

自己肯定感を育てるには、

「他人のために動く」という行為も役立ちます。


ここで気を付けておきたいのが、

「助けたい人を、望んで助ける」ということが

大事であり、

好きでもない、嫌いな相手に対して自分の時間や労力を使って

助ける、というのは効果がありません。

それはどちらかというと自己犠牲の精神を育てるだけなので、

逆効果です。


重要なのは、

「自己有能感(自分も力がある、役に立てる)」と

思えるような行動をすることです。


他人を励ましたり助けたりしていると、
自分も元気になったり励まされたりすることを
メンタル・ギブの法則といいます。


人に対して励ましていると、

「自分は他人に対して優しく接することのできる、

穏やかな部分を持っている」

という自覚ができ、

その自覚が自分自身を励ましてくれるわけですね。


これ自体も、

自己肯定感を育むのに重要になってきます。


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